所詮、お前は井の中の蛙だ

英語学習、クラシック音楽、日々の雑記など。

※このブログはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。

【クラシック】かっこいいバイオリン協奏曲

甘いメロディーから激しい曲まで、表現の幅が豊かなのがバイオリンという楽器。そしてそんなバイオリンを主役として存分に魅力を堪能できるのがバイオリン協奏曲ですよね。三大バイオリン協奏曲を始め、名曲は数多くありますが、今回はその中でも『かっこいいバイオリン協奏曲』にフォーカスして、おすすめの曲を紹介したいと思います。

 

【かっこいいバイオリン協奏曲】

 

シベリウス / ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47

フィンランドの作曲家であるシベリウスが描いたこの作品は、北欧の響きが美しいヴァイオリン協奏曲です。素晴らしいのがやはり1楽章。シベリウス自身が「極寒の澄み切った北の空を、悠然と滑空する鷲のように」と表現した冒頭は、透き通った音の独奏ヴァイオリンが、まさに滑空する鷲のような孤高の美しさ。凛としたヴァイオリンは北欧の自然の中を進むような力強さで展開し、呼応するようにオケも続きます。圧巻なのが独奏ヴァイオリンが奏でるドラマチックな第二主題。6度の重音でたっぷり弾かれる分厚いメロディーは、吹雪の中に差し込んだ太陽の光のようにあたたかく壮大です。ちなみに独奏ヴァイオリンが第二主題の最骨頂を迎えたあと、掛け合いで入ってくるのが、なんとヴィオラソロ!ここにヴィオラを持ってくるとか。最高か、シベリウス

楽天から視聴できます。オイストラフの第二主題が絶品。

サン=サーンス / ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 作品61

フランスの作曲家サン=サーンス。チェロの「白鳥」は癒し系のBGMでもよく使われ有名ですが、サン=サーンス自体はあまり知らないという方も多いかもしれません。しかし、このヴァイオリン協奏曲、一度聴けばその格好良さに虜になること間違いなしです。1楽章冒頭から、ヴァイオリンの鬱屈とした深いメロディーに痺れます。sulGの情熱的なビブラート、大好物です。(sulG:ヴァイオリンの1番低いG線だけを使って弾くこと。G線特有の音の厚みや切迫感が出せる。スルゲーと読む)。かと思えば、2楽章はめちゃくちゃ甘い。あれ、あんなに格好良かったこの人がこんなに甘い表情も持ってるの?というギャップ。そして、そこからの3楽章。これがまた冒頭から超絶かっこいい。難局を物ともせず突き進んでいく騎士のように、ヴァイオリンの格好良さをこれでもかと味わえます。

※この後に出てくるラロのスペイン交響曲とペアで収録されたヴェンゲーロフ盤。楽天から視聴できます。

ブルッフ / ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 作品26

ロマン派のドイツの作曲家ブルッフ。ロマンチックなメロディーを得意とする彼はヴァイオリン界隈では有名人ですが、それ以外の人にとってはマイナーな存在かもしれません。そんなブルッフの代表曲がこのヴァイオリン協奏曲第1番。幻想的な雰囲気で始まるこの曲もまた素晴らしくかっこいい。1楽章は2楽章の序奏の位置付けで、壮大なこの曲の序奏らしく、堂々と、しかし神秘的にブルッフの世界に誘(いざな)います。弾く方は大変だと思いますが、ブルッフはフレーズの中で重音を効果的に使うなーと惚れ惚れします。幻想的な霧の中を進むような1楽章があけると、そこに広がる2楽章は天上の音楽。ひたすらに甘くロマンティックな旋律を独奏ヴァイオリンがたっぷり歌い、それはもう涙が出るような美しさ。あぁ、この美しさを伝えるためにこの曲はあるのだと納得します。さすがです、ブルッフ先生。

このフランチェスカッティ盤は、こんなにたくさんコンチェルトを収録して、この値段でいいのでしょうか…。楽天から視聴できます。

バッハ / 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043

バロック時代の大作曲家バッハが作曲したこの曲は「ドッペルコンチェルト」と呼ばれることもある有名な曲ですね。表題に「二つのヴァイオリンのための」とある通り、2本の独奏ヴァイオリンの掛け合いを楽しめる曲です。バイオリンの教本に載っている一方で、有名なヴァイオリニストがコンサートで演奏することもあり、アマチュアからプロに渡るまで幅広く愛され、耳にする機会が多い曲です。1楽章の特徴的な主題は短調でありながらも暗すぎずエネルギッシュ。バッハですからただシンプルに、ヴァイオリンの持つ素の音の美しさと奏者が重ねてきたひたむきな技術をそのまま堪能できます。独奏は当然1stと2ndに分かれていますが、同じフレーズの掛け合いが続くので、同格の実力で近い音質のヴァイオリニストを揃えたいところ。その究極形としてハイフェッツなどは一人二役の多重録音を残しています。

楽天から視聴できます。(ハイフェッツ盤ではない)

グラズノフ / ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品82

グラズノフって誰?という方が多いかもしれませんが、ボロディンの弟子であり、ショスタコーヴィチの師でもあった彼が作曲したヴァイオリン協奏曲は、情熱的かつ民族的でかっこよく、ヴァイオリン界隈では愛されている曲です。G線の響きから始まるほの暗く深いメロディーは、ロシア特有の熱い感情を秘めていて1楽章冒頭からもうかっこいい。そして、4分ほどの短い1楽章から切れ目なく始まる2楽章。幻想的なハープの伴奏の上で、独奏ヴァイオリンが情熱的にあたたかいメロディーを奏でます。重音を効果的に使いながら、自由に歌えることの歓びを存分に表現するヴァイオリンの音色はただ美しい。そしてカデンツァから3楽章にかけてはヴァイオリンの技巧のオンパレード。「聴く」だけでなく、ぜひコンサートや映像で「見て」、楽しんでほしい曲です。(なかなかコンサートで弾かれる機会がないのが残念なところですが)。

ハイフェッツ盤です。この盤ではカデンツァまでが1楽章という解釈です。楽天から視聴できます。

ラロ / スペイン交響曲 作品21

この曲は5楽章構成で名前も「交響曲」ではあるのですが、独奏ヴァイオリンとオーケストラで構成された協奏曲の仲間かなということで、今回入れてみました。ラロもヴァイオリン界隈では有名なのですが、一般的にはマイナーな部類かもしれません。ラロ自体はフランスの作曲家ですが、祖父の代まではスペイン人でスペインのルーツを持つ作曲家です。(まぁ、他にもロシア交響曲とかノルウェー幻想曲とかルーツ関係なさそうな曲も書いてますけどね)。この曲はその名の通り、南欧スペインの雰囲気が詰まった曲で、情熱的でエキゾチックな独奏ヴァイオリンを存分に堪能できます。高音は艶っぽく、低音は弦がうなるように深く。はやる気持ちに思わず弦が引っ掛かる雑音にすら情熱を感じます。ただ美しいだけではない、人間味溢れるヴァイオリンの音色をぜひ堪能してみてください。